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展覧会:小村雪岱スタイルを観てきたよ [アート]

三井記念美術館で開催中の『小村雪岱スタイル 〜 江戸の粋から東京モダンへ』を観てきました。

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小村雪岱(せったい)は大正〜昭和初期の画家です。
この人の作品を初めて観たのは2010年。わたしは浮世絵師では鈴木春信が好みなんだけど、小村雪岱の描く作品も春信を思わせるものがあるのです。

これが鈴木春信の作品。

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小村雪岱の作品(肉筆画)はこんな感じ。

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今回、展覧会に行く前に偶然、小村雪岱の随筆集を読む機会がありました。この随筆集のなかには、鈴木春信について書かれた部分は無かったです。小村雪岱は浮世絵の顔では歌川国貞の画く女の顔を最も好むと書いてました(笑)

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でも、小村雪岱は「昭和の鈴木春信」と言われていて、それはとても納得出来るのです。どことなく表情がない人物に妙に惹かれてしまうのよね。雪岱自身も個性の無い女性を描くことが好きだったみたい。仏像(とくに、飛鳥時代の仏像)を観るのが大好きと随筆集に書かれていてとても納得しました。

演技者の演技次第で、笑っているようにも泣いているようにも見える能面も好きだったようで、描く人物には能面の持つ力に似たものを願っていたそうな。わたしが雪岱の作品に惹かれる理由が随筆集を読んで分かったのでした。

さてさて。小村雪岱といえば泉鏡花の作品の装幀で有名になったのです。
作品に惚れ込み、泉鏡花と会う機会を得、そして装幀画家に抜擢されたんだからすごいよなあ。

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展覧会では、いろんな本も展示されていましたよ。
昔の本って、それだけで一つの芸術作品で良いよね。今は味気ないです。

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その後、新聞などの連載小説の挿絵を担当することになり、ますます有名になる小村雪岱。

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吉川英治の作品の挿絵も担当していたって思うと、やっぱり昭和の人なんだよなーって実感します。資生堂に入社して、化粧品広告も手がけていたんだよー。

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まだまだ活躍する場はあったと思うけど、脳溢血により54歳で死去しました。時代小説を担当することが多かったので、江戸時代の情景を描いていたけど、本人は銀座を歩く洋装のモダンな女性たちも描きたかったようですよ。

三井記念美術館は、いつもわりと空いているイメージがあったのですが、今回の展覧会はそれなりに人もいました。人気があるのかな?
若い人も年配の人も幅広く館内に居ました。
( 一通り観たあと、また入口に戻って最初から観たので人も増えていたのかもしれないけどw)

この展覧会はこのあと富山と山口に行くので、興味があったらぜひ観てくださいね^^

*****
小村雪岱スタイル 〜 江戸の粋から東京モダンへ
三井記念美術館
2021年2月6日〜4月18日
http://www.mitsui-museum.jp/index.html
※ 事前予約制

【巡回】
2021年4月27日〜6月13日
富山県水墨美術館

2021年7月8日〜8月29日
山口県立美術館


小村雪岱随筆集

小村雪岱随筆集

  • 出版社/メーカー: 幻戯書房
  • 発売日: 2018/01/24
  • メディア: 単行本




今回、展覧会後のランチは無しです。
自粛して、家で食べました(笑)


nice!(83)  コメント(29) 
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コメント 29

yamatonosuke

そう言われると表情がない人物ですね。
読み手の受け取りかたに任せるというこで、
随筆集表紙は私には悪だくみに見えました(笑)
そして昔に資生堂のポスターかCMで見たような気がします(^^♪
by yamatonosuke (2021-02-10 01:18) 

ChatBleu

ランチを自粛されてしまうとツッコめない(笑)
浮世絵はさっぱりわからなくてーー。違いもわからん^^;
表情がない人を描くって、描き手としてはどういう感じで描くのかなぁ。無理におしつけないって感じなのかしらん。

業務連絡。
今日以降、こちらもいつでも良いとのことです。
朝4時とかは勘弁してって(笑)。
by ChatBleu (2021-02-10 05:08) 

さる1号

雪の朝が好きだなぁ

by さる1号 (2021-02-10 06:28) 

あおたけ

小村雪岱スタイル、
それが特徴なのかはわかりませんが、
ポスターになっている居間の三味線や、
雪降る街角の二枚など、
独特な空間が印象的な作風ですね(・∀・)
人物画より風景画に惹かれます(^^)
by あおたけ (2021-02-10 06:32) 

横 濱男

愛染集の雪の絵が特にgoodです。
by 横 濱男 (2021-02-10 07:58) 

リュカ

yamatonosukeさん
確かに随筆集の表紙は悪巧みに見える見える(笑)
ほんとは手のひらに居る小鳥を愛でているんですけどねw
資生堂のポスターかCMで観た記憶ありますか?
すごい!!


ChatBleuさん
あっはっはw
ランチは自粛しちゃったのよねえ。美術館を出たら12時過ぎていたから
お店も混雑してるかな〜って思ってやめたの。
小村雪岱は天然のものよりも人工のものに興味があったみたいで
生身の女性よりも仏像の表情に美しさを感じていたみたい^^
業務連絡ありがとう!
12:30が楽しみだ。


さる1号さん
雪の朝、これは音すらも雪で消されてる雰囲気が
すごく伝わってくる作品ですよ〜〜


あおたけさん
小村雪岱は、挿絵や舞台装置を描くことが主な仕事になっていたので、居間の三味線なんかも、物語の一場面なんでしょうね^^
話自体はしらないけれど、雰囲気がすごく伝わってくるんですよ〜。
雪降る街角は吉原なの。女が逃げないように塀で覆われている吉原。ここに幽霊が現れる場面のようですよ。
本を開いたときの見返しに、この絵が描かれていると、もう話の世界に入れそうですよね。
by リュカ (2021-02-10 08:05) 

リュカ

横 濱男さん
この作品わたしも好きです。
吉原遊郭の塀だそうです。
by リュカ (2021-02-10 08:07) 

YAP

たしかによく似た雰囲気で描かれていますね。
芸術は、やはり影響を大きく受けるお手本というか、目標みたいな人が頭の中に大きくあるのでしょうかね。
by YAP (2021-02-10 08:14) 

marimo

浮世絵に描かれる女性はみな切れ長の目で
ちょっと怖いお顔に見えてしまいます。
無表情な所がそう見えるのでしょうかね。
ゴッホにも影響を与えた浮世絵、奥が深いのですね(^^
by marimo (2021-02-10 08:50) 

夏炉冬扇

昨日知人の版画家さん宅にお邪魔したら、祖母が描いた羽子板の「下絵」というのを見せてもらいました。こんな浮世絵風でした。
by 夏炉冬扇 (2021-02-10 09:04) 

わたし

えーーランチ自粛ですかぁ?
おひとりや、ご夫婦でのランチなら問題ないかと。
もう1周して、お時間ずらせばすいているのでは?
ランチ内容知りたい女のたわごとですが

by わたし (2021-02-10 09:08) 

hirometai

リュカ様
雪の中の街中の絵がいいです。
ふと昔の静かに深々と降る雪降りを思い出します。
by hirometai (2021-02-10 09:18) 

リュカ

YAPさん
女性の立ち姿も春信と同じ構図のものがあって
かなり研究したんだろうなというのは分かります^^
そこから独自の世界に入っていくのでしょうね。


marimoさん
小村雪岱によると、藤原時代、鎌倉時代、桃山時代、江戸時代と時代によって世間が好みと思う顔が違うのが面白いみたい。
浮世絵に多く描かれる江戸時代は、あの細い目の地味な長顔が流行ったみたいだよw
小村雪岱が生きた昭和1桁時代は丸顔が流行っていたそうな。令和の今はどうなんだろうね^^


夏炉冬扇さん
羽子板の下絵!たしかに羽子板にはこういう浮世絵風の女性が描かれていましたよね。うちにも小さい頃は飾られていたなあ。


わたしさん
美術館を出たら12時過ぎていたので遠慮しちゃいました。
美術館内も混み始めていたし、14時には家に戻ってクール便の荷物を受け取らないといけなかったので(笑)
by リュカ (2021-02-10 09:19) 

リュカ

hirometaiさん
しんしんと降る雪は趣がありますよね。
音もすべてを覆う雪って好きです。
この雪の町は、吉原遊郭の塀が描かれているんです^^
by リュカ (2021-02-10 09:22) 

よいこ

背景の切り取り方がデザインっぽくて素敵ですね
こんな方がいらしたとは知りませんでした。
54歳で没とは本当に惜しい
by よいこ (2021-02-10 09:38) 

よーちゃん

「資生堂に入社して、化粧品広告も手がけていた」
・・・ってバリバリの現代人デザイナーですやん!
54歳で脳溢血は早すぎますよね~(T_T)
by よーちゃん (2021-02-10 09:40) 

ma2ma2

美術館もコロナで展示を開催するのも大変ですね!
事前予約で人数制限もするので入場料の売り上げも上がらないですね。
by ma2ma2 (2021-02-10 09:46) 

リュカ

よいこさん
背景の切り取り方良いでしょう。
わたしも好みなんです。舞台装置の背景もいろいろ手がけていて、その作品も素敵なんですよ〜


よーちゃんさん
資生堂での広告はモダンな感じです^^
あとは香水瓶などのデザインも手がけていたみたい。多彩だったのに早すぎる死ですよね;;


ma2ma2さん
人数制限をしているので、見る方としては観やすいけど
運営するほうは大変ですよね。
by リュカ (2021-02-10 10:02) 

raomelon

雪岱(せったい)ふりがなありがとう~^^;
泉鏡花の作品の装幀で有名に>なるほど
美しい装丁は目に入りやすく、読んでみたい気持ちになりますね^^
美術館も久しぶりだったかな?
素敵な時間を過ごされましたね♪
by raomelon (2021-02-10 10:28) 

まつき

絵画の世界は(も)全くよく分からないけど、
表情がないと言うのは面白いかも。
大口開けて大笑いしてるような絵はないのかなぁ(・・?
by まつき (2021-02-10 10:44) 

とし@黒猫

美術館、どこも緊急事態宣言で閉まってる認識ですが、
開館してるところもあるんですね。
by とし@黒猫 (2021-02-10 11:40) 

リュカ

raomelonさん
泉鏡花の世界にぴったりな挿絵や装幀を描いてましたよ^^
やっぱり装幀が美しいと手に取りたくなりますよね。
なんだかんだと展覧会は月に2回くらいのペースで行ってるかも(笑)


まつきさん
大口開けて笑っている絵は無かったなー(笑)
江戸時代の浮世絵でも、おっさん(w)を描いたものは別として、女性は歯を出して笑わないことや、無表情のすました顔が好まれていたんだよねw


とし@黒猫さん
今回の緊急事態宣言では国立の博物館も、夜間開館は中止してるけど、閉館にはなってないんですよね。
開館時間を短くして、人数制限してOPENしてます。
by リュカ (2021-02-10 11:48) 

ちぃ

大学の書庫に泉鏡花の特別コーナーがあって
おそらく初版本と思われるものがいくつか並んでいたの。
国文学科に専門家の教授がいたみたい。
本はガラスケースの中に入ってて手には取れなかったんだけど
装丁があまりにも美しくてよく眺めに行ってたんだー。
「斧琴菊」と「弥生帖」が特にお気に入りだったんだけど
その装丁が小村雪岱だったんだね!!!
当時は調べもしなくて知らないままになっていたけど
今ようやく判明したわ。リュカさんありがとう^^
でね、鏡花の作品といえば坂東玉三郎が舞台化したものがたくさんあって(歌舞伎ではないです。映画だと「外科室」があるよ^^

DVDでいくつかみた事があるんだけど
あえて表情を「無」にする様な感じが
雪岱の絵にとても似ていると思ったのでした。
鏡花の世界観をつかもうと雪岱の絵もたくさんみたんだろうなぁなんて想像してました。
資生堂の広告デザイナー?それは銀座好きな男性の香りがするwww
by ちぃ (2021-02-10 14:59) 

リュカ

ちぃさん
おおお!泉鏡花の専門家の教授!
それは大学としても大事なコレクションだよね。
ガラスケースに入っているのも当然だ〜
絶対それは、小村雪岱の装幀です^m^
ちぃさんがお気に入りの「斧琴菊」と「弥生帖」は、今回の展覧会にも展示されていたよ^^
舞台装置も小村雪岱はいろいろ携わっているんだよー。
随筆集にはその苦労話も沢山載っていて面白かった。
本の挿絵は文句言われたこと無いけど、舞台美術はそうはいかないって(笑)
役者を配してみると思っていたのと違ったり、反省してる話もあって面白かったー。
「外科室」は本では読んだことがあるんだけど、DVDでは観てないなあ〜
「外科室」をイメージした現代アーティストの作品は観てるんだけどねww
きっと銀座好きだったと思う!(笑)
銀座で見かけた女性の記憶画を描いていたり、ストッキングは嫌いとか書いていたよ(笑)
防寒のためなのか肌を見せるのを避けるためなんだろうけど気に入らないってさ。
『西洋人ほど勝手なものはないので、肌を見せるのが嫌いなら嫌いで良いのですが、夜会などの格好はどうでせう。殆ど裸体ではありませんか』って随筆集に書いていて笑ったww
by リュカ (2021-02-10 16:28) 

きよたん

雪の朝の絵はどこかで見たことあるような
気がします
今も斬新で素敵です。
一枚飾りたくなります。
by きよたん (2021-02-10 17:20) 

Boss365

こんにちは。
小村雪岱、目にしていると思いますが、ノーマークの画画です。
「どことなく表情がない人物・・・」なる程です。
確かに不思議な表情で、無機質でクールな印象ですね。
キュービズムの対極を追求している印象もあり?
「54歳で死去」は残念。
「洋装のモダンな女性たち」の絵も観たかったですね!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2021-02-10 17:38) 

リュカ

きよたんさん
和室に飾りたくなる作品です〜^^
すっきりとしたデザインも良いんですよね。


Boss365さん
多分どこかでは観てる画家なんじゃないかなーって思います^^
まだまだ活躍出来る場はたくさんあったろうに
54歳は若いですよね。
資生堂の広告ポスターではモダンな女性も描いていたようです♪
by リュカ (2021-02-10 19:58) 

藤並 香衣

名前を見て「知らないなぁ」って思ったんですけど
画を見たら「見た事ある」となりました
何となく見ていて記憶に残っているんだからすごいな
飛鳥時代の仏像、顔の輪郭とか雰囲気が似てますね
by 藤並 香衣 (2021-02-10 22:09) 

リュカ

藤並 香衣さん
そうそう。名前を知らなくても見てみると
この画知ってる!っていうのはありますよね^^
小村雪岱は興福寺の阿修羅像が大好きだったみたいです。
法隆寺の救世観音のことも書いてました。
趣味と呼べる物はないけど、仏像を観るのは好きだったんだって^^
by リュカ (2021-02-10 22:39) 

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