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「ハニワと土偶の近代」は勉強になりました [アート]

東京国立近代美術館で 10 月 1 日から始まった展覧会「ハニワと土偶の近代」 初日に行ってまいりました!

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今年は 10 月 16 日からトーハクでも埴輪の展覧会があるのよ。近代美術館はどんな展示なのかな〜って楽しみにしていたら、これは予想外のコンセプトでした。
ある意味博物館では出来ない展示。近代美術館ならではの視点がとっても面白かったです。一部の作品以外は撮影 OK です。

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ハニワと土偶と言っても、舞台は明治時代から現代にかけて。出土した遺物のモチーフから生まれた美術作品や文化史を見ていくというものでした。

会場に入るとまずは古墳時代のハニワからの紹介。縄文時代の土偶が最初じゃないのか……ってちょっと不思議だったんだけど、それは展示を観ていったら納得でした。

大正~昭和期の日本画家、安田靫彦(ゆきひこ)の「居醒泉」という作品。
ヤマトタケルが倒れている場面なんだけど、この服装などはハニワによる服飾考証によるものだそうな。

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ハニワはその姿から、昭和の軍国教育に利用されたんだね。それは全く知らない話だったのでビックリでした。考えてみれば国宝の「挂甲の武人」なんかも武装してる姿だものね。

近代国家形成において、ハニワは「万世一系」の歴史の象徴となったんだって。
戦争記念画の絵葉書。

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その裏面には挂甲の武人が。

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終戦直後の教科書も展示されてました。見事な黒塗り。日本古代の神々に関する記述は塗りつぶされ、新しい日本の歴史教育(個人的にはねじ曲げられすぎて嫌い)として石器や土偶・埴輪などの出土品の写真が出てくるようになるそうな。

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焼け野原になった日本。復興のためにあらゆる場所が掘られて遺物が出土し、実証的で科学的な学問として考古学が脚光を浴びたのは、ある意味皮肉だ。関東大震災のときも同様に、古墳の調査が進んだんだよね。。。

終戦の頃の画家たちは GHQ に武者絵を禁止されていたようです。日本人の精神を骨抜きにすると言ったのはマッカーサーだったか?
武者の代わりに埴輪をモチーフに描く人たちも居たみたい。キュビズムを意識した埴輪の作品は斬新だったわ。

IMG_8738.JPG 斎藤清「ハニワ」1953年

アンリ・マティスに学んでいた猪熊弦一郎の作品「猫と住む人」は、何か楽しいww

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敗戦から 10 年くらい経った頃、岡本太郎が「縄文的なるもの」を打ち出してきて、ハニワブーム(?)に影が忍び寄ってきたみたい。
土偶が作られた縄文時代は社会階級の分化もなく、争いがあまり無い時代。一方ハニワは「封建的・奴隷的」の象徴として縄文ブームに追われていったそうな。

IMG_8749.JPG 岡本太郎「顔」1952年

ここからしばらく土偶の展示になりました。なるほど、こういう流れで展覧会を見せたのねーと納得。
1964年の東京オリンピック。新潟出身の小説家・松岡譲は地元ゆかりの火焔型土器を聖火台にしようと提案したそうな。

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これは採用されなかったんだけど、新潟国体の炬火台として実現したんだって。面白いねw

1970年代に入ると、サブカルチャーとしてハニワや土偶は注目されていったそうな。私は見たことはないけど「大魔神」っていう映画では挂甲の武人がモデルだって分かるもんねw

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この頃になると、武人ハニワは英雄で土偶は恐ろしい敵という立ち位置になってるみたい。土偶好きとしては少々納得いかんww

見応えたっぷりのとっても勉強になる展覧会だったわ。
常設展示も観ようと思ったんだけど、この特別展でヘロヘロになったので今回は帰ることにしました。この日はあおもあまりゴハンを食べてなかったので、早めに帰って様子をみなくちゃって思ったし。

と言いつつ、ランチはして帰るよ〜。
ハラミ焼肉をいただきました。

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ミュージアムショップで買ったのは、測量野帳!
ヤチョラーとしては、これは買わないとね♪

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ハニワと土偶の近代
東京国立近代美術館
2024年10月1日〜12月22日
https://haniwadogu-kindai.jp
※ 公式図録は10月8日(火)より販売開始なのでご注意ください!!


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