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「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜展」引き込まれました [アート]

東京駅丸の内北口直結、東京ステーションギャラリーで開催中の『木彫り熊の申し子 藤戸竹喜〜アイヌであればこそ』展を観てきました。

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10時からの回を予約。20分前に到着してしまったので、東京駅の写真などをパチリしたりポケ活して時間を潰したよ。そして開館と同時に入りました。ガラガラです^^

藤戸竹喜(たけき)は、アイヌ民族。
木彫り熊の職人だった父親のもとで12歳の頃から熊彫りを始めたのだ。デッサンなどは一切行わず、丸太に簡単な目印を入れるだけで、あとは一気に形を彫り出していく手法。展覧会の最後に、その映像が流れていたんだけど、凄すぎるよ!目を奪われました。

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展覧会のフロアには、大小さまざまな熊の木彫りが並びます。
どの熊も躍動感があって、表情がとても生き生きしているの。単眼鏡でドアップで見てみると、毛の流れも非常に繊細に彫られていて、なびいていそうな感じがする。

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きょうだいでじゃれあっている熊の肉球もリアルで
思わずニヤニヤ。

川に遡上してきた鮭を捕る熊たち。写真では小さいけど実物はわりと大きな作品。
鮭を食べている熊のリアルさと、木彫りなのに鮭の体が崩れて食われている様子がすごい!

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熊が鹿を襲ったり、狐や鷲が兎を捕ったり、そんな一瞬を見事に切り出して作品にしていて、いろんな角度から楽しみましたわ。

アイヌ民族、そして熊狩りの様子を彫ったものもありました。
アイヌにとって熊は特別な存在。現代社会の生活しか知らないわたしには、やっぱり見ていて苦しくなるところもあるけれど、乱獲とは違う。

甲殻類の木彫りもあったよ。
単眼鏡で見ると、めちゃめちゃリアルすぎて驚きです(笑)

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狼の木彫りもたくさん展示されていました。
少年時代、「狼を彫りたい」と父に言うと、「熊も一人前に彫れないのに何を言っているのか」と一喝されたそうな。いつか必ず狼を彫りたいと思い続けていたんだって。

フロアの後半に『狼と少年の物語』というお話しを木彫りで作ったものが展示されていました。川に流されてしまった人間の幼子が狼の夫婦に育てられる話。
人間の両親が幼子を探しに川を下り、滝に落ちていくシーンは、すごく迫力があって涙が出てきたよ。

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狼は駆逐され、やがて絶滅するんだけどね。

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生き物への愛も感じる作品もたくさんあって、心が温かくなりました。

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絶作となった「這い熊」です。

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後ろ足の爪や表面の毛などはまだ彫られていない状態の未完の作品。
入院する際にアトリエに残していったものなんだそうな。未完だからこそ、どんな工程で彫られていくのかが良く分かる作品でした。

2018年10月、その生涯を閉じたそうです。

初期から晩年に至る代表作80点ほどが来ていた展覧会。観に行って良かったなー。
これは写真では、その繊細さや迫力が伝わらないと思う。ぜひぜひ実際に見てほしいと思いますっ!!

今さ、渋谷の松濤美術館でもアイヌの展覧会が開かれているの。
家から遠いのでスルーした展覧会だったんだけど……そっちも観に行きたくなっちゃったよー(笑)
でもね、8月9日までだから厳しいな。


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木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ
東京ステーションギャラリー
2021年7月17日〜9月26日
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202107_fujito.html


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