今日は小説なので長文です。【スパイのワクチン接種記録】 [美と健康?]
このブログで「相方くん」という名で登場しているオレは、某国機関に所属するスパイだ。情報収集、分析など、各国に散らばっているスパイと協力して日々活動している。
妻のブログネタのために妙な野菜を買ってきたり、猫と戯れる普通の「おとーちゃん」としての顔も持つ。
新型コロナウイルスのワクチン接種は、某機関で早い時期から出来ることになっていたが、ちょうど上層部に成果報告書を出さなければならなかったし、プレゼンもあったので、それが終わってから接種することにした。
妻からはワクチンを打つ前はよく寝ろと言われていたが、夜中に起きる生活に慣れているのですぐに目が覚めてしまう。
それでもいつもよりは寝た気がする。
接種当日、うだるような暑さだ。
水分補給の OS-1 を持たされ、接種会場へ向かう。たいした問診もなく接種完了。
注射されたところが若干熱いが、すぐにおさまった。帰宅後に腕を見ても腫れている気配は無し。少し腕が虫刺されのように痒いか? しかしこの程度のことでダウンしては、スパイの激務をこなすことは出来ない。
家で昼食を済ませ、午後からの会議はオンラインで参加した。
さすがに接種当日は在宅勤務にしたのだ。
会議が終わった夕方、妻が予約した本を受け取りに図書館に行き、帰りにスーパーに寄ってくるというので付き合うことにした。体調もとくに問題はないし、ずっと部屋に籠もっていたから外の空気も吸いたい。
図書館とスーパーが入っているビルの入口には、表面温度を測るサーマルカメラがある。
妻が顔をかざすと「35.7℃ 表面温度、正常」と音声が流れ、妻はビル内に入る。
オレが顔をかざすと「37.9℃ 表面温度、異常」と音声が流れるではないか!
間違いかと思い、一度カメラから離れた。
おそるおそる、もう一度カメラの前に立つ。
「38.2℃ 表面温度、異常」と音声が流れ、慌てるオレ。後ろに居た小さな子供が不思議そうにオレの顔を見ている。
「あー、熱出てきてるんじゃん。火照ってるの自分では自覚ないの?」と笑いながら妻が言う。
自覚はない。オレは元気だ。
しかし体内では変化が起きているのだ。
サーマルカメラに「異常」と言われてしまったので、ビル内に入ることは出来ない。
妻を残し、すごすごと帰宅した。
家の体温計で測定すると 36.5℃ だが、いつもよりは少し高い。自覚がないことに凹む。妻は蚊に食われただけでも「あ!今しゅわしゅわ入れられてる!(蚊の唾液のこと)」と言う。オレの体はそんな敏感には出来ていないのだ。
夕食を済ませ、再度熱を測ると 36.7℃ だ。少し上がっているか。
だるくないのかと聞かれるが、良く分からない。だるいと言えば、だるい気もする。
普段とにかく動き回っているので、こうやって大人しくしていると、それがワクチン接種の所為なのか、日々の激務の所為なのか分からない。
しょぼくれるオレに妻は、お得意の北海道弁で「今日はもう寝れ!」と言い放つ。
なぜ妻はこういうとき、偉そうに仁王立ちをするのだろう。
眠くはないが、素直に従って寝た方がいいのかもしれない。布団を敷こうとして腕を上げると痛いことに気づいた。どうやらオレの体も普通の人間だったようだ。
***
翌日、腕はさらに上がらなくなっていた。
見た目に変化はないし、動かさなければ痛みはない。だが腕を上げようとすると筋肉痛のような痛みがある。ただ、頭痛はないし、体調にも問題はない。体温は 36.6℃
この日も在宅申請をしていたので家で仕事。
国際会議があるのでオンラインで出席した。他国のスパイからの情報を聞きながら資料を読み、こちらが得た情報の報告もおこない、18時に会議が終了。
14時頃の休憩の時は、まったく体調にも問題がなかったので、会議が終わったらジョギングが出来ると思っていた。
そのことを妻に言うと「アホだね」と呆れていたが、オレは走れると思っていた。
だがしかし!
だるい。少し頭痛もあるようだ。
「ジョギングするって、うちのお母さんにも伝えたらアホだねって言っていたよ」と妻。
確かにオレはアホだったかもしれない。自分の体を過信していた。
普段自分の体の事なんて気にしていられないのだ。
だるいかもと気にしたら働けない。だから体の異常には鈍感なのだ。しかし、今回はワクチン接種をしたあとだ。しかも今まで人類が打ったことのないワクチンを打っているのだ。少しは自分の体に目を向けるべきか。
「ちょっと頭が痛い。薬飲んだ方がいいかな」
「我慢しないで飲みな」
そう言って妻は用意していたタイレノールA(アセトアミノフェン成分の頭痛薬)を出してくれた。そしてお茶が入った寝ながらでも飲めるストロー付きのカップを渡された。もう寝ろということだろう。素直に従うことにする。
まだ 20 時にもなっていない。寝られるのかは分からないが、横になった方がいいだろう。
「お義母さん、ジョギングするなんて言って、ボクは阿呆な息子ですって伝えて」と、オレは妻に伝言を頼み、仕事部屋に敷いた布団に向かった。寝られないと思っていたが、すぐに眠りにおちていった。
***
ワクチン接種 3 日目。
朝から気分がいい。腕も昨日よりあがる。頭もスッキリしている。
オレの体はもう大丈夫だ。今日こそジョギングが出来るだろう。やっぱり昨日は具合が悪かったのだと、今更ながら気づいた。
2回目のワクチン接種は来月。
今回よりも副反応は出そうだから、次回はもっとちゃんと体を休ませることにしよう。
ベランダから見える青空が眩しい。外に出てこいとオレを誘っている。
この季節のジリジリとした日差しと、むせかえるような暑さがオレは好きなのだ。生きていると実感する。皆もそうじゃないか?
おわり
実話をもとに、面白可笑しく書いてみましたww
***** おまけ *****
昨日、東京上空を飛んだブルーインパルス。
うちのベランダから相方くんがミラーレスで撮ってくれました。
スマホじゃ全然ダメだったよww
妻のブログネタのために妙な野菜を買ってきたり、猫と戯れる普通の「おとーちゃん」としての顔も持つ。
新型コロナウイルスのワクチン接種は、某機関で早い時期から出来ることになっていたが、ちょうど上層部に成果報告書を出さなければならなかったし、プレゼンもあったので、それが終わってから接種することにした。
妻からはワクチンを打つ前はよく寝ろと言われていたが、夜中に起きる生活に慣れているのですぐに目が覚めてしまう。
それでもいつもよりは寝た気がする。
接種当日、うだるような暑さだ。
水分補給の OS-1 を持たされ、接種会場へ向かう。たいした問診もなく接種完了。
注射されたところが若干熱いが、すぐにおさまった。帰宅後に腕を見ても腫れている気配は無し。少し腕が虫刺されのように痒いか? しかしこの程度のことでダウンしては、スパイの激務をこなすことは出来ない。
家で昼食を済ませ、午後からの会議はオンラインで参加した。
さすがに接種当日は在宅勤務にしたのだ。
会議が終わった夕方、妻が予約した本を受け取りに図書館に行き、帰りにスーパーに寄ってくるというので付き合うことにした。体調もとくに問題はないし、ずっと部屋に籠もっていたから外の空気も吸いたい。
図書館とスーパーが入っているビルの入口には、表面温度を測るサーマルカメラがある。
妻が顔をかざすと「35.7℃ 表面温度、正常」と音声が流れ、妻はビル内に入る。
オレが顔をかざすと「37.9℃ 表面温度、異常」と音声が流れるではないか!
間違いかと思い、一度カメラから離れた。
おそるおそる、もう一度カメラの前に立つ。
「38.2℃ 表面温度、異常」と音声が流れ、慌てるオレ。後ろに居た小さな子供が不思議そうにオレの顔を見ている。
「あー、熱出てきてるんじゃん。火照ってるの自分では自覚ないの?」と笑いながら妻が言う。
自覚はない。オレは元気だ。
しかし体内では変化が起きているのだ。
サーマルカメラに「異常」と言われてしまったので、ビル内に入ることは出来ない。
妻を残し、すごすごと帰宅した。
家の体温計で測定すると 36.5℃ だが、いつもよりは少し高い。自覚がないことに凹む。妻は蚊に食われただけでも「あ!今しゅわしゅわ入れられてる!(蚊の唾液のこと)」と言う。オレの体はそんな敏感には出来ていないのだ。
夕食を済ませ、再度熱を測ると 36.7℃ だ。少し上がっているか。
だるくないのかと聞かれるが、良く分からない。だるいと言えば、だるい気もする。
普段とにかく動き回っているので、こうやって大人しくしていると、それがワクチン接種の所為なのか、日々の激務の所為なのか分からない。
しょぼくれるオレに妻は、お得意の北海道弁で「今日はもう寝れ!」と言い放つ。
なぜ妻はこういうとき、偉そうに仁王立ちをするのだろう。
眠くはないが、素直に従って寝た方がいいのかもしれない。布団を敷こうとして腕を上げると痛いことに気づいた。どうやらオレの体も普通の人間だったようだ。
***
翌日、腕はさらに上がらなくなっていた。
見た目に変化はないし、動かさなければ痛みはない。だが腕を上げようとすると筋肉痛のような痛みがある。ただ、頭痛はないし、体調にも問題はない。体温は 36.6℃
この日も在宅申請をしていたので家で仕事。
国際会議があるのでオンラインで出席した。他国のスパイからの情報を聞きながら資料を読み、こちらが得た情報の報告もおこない、18時に会議が終了。
14時頃の休憩の時は、まったく体調にも問題がなかったので、会議が終わったらジョギングが出来ると思っていた。
そのことを妻に言うと「アホだね」と呆れていたが、オレは走れると思っていた。
だがしかし!
だるい。少し頭痛もあるようだ。
「ジョギングするって、うちのお母さんにも伝えたらアホだねって言っていたよ」と妻。
確かにオレはアホだったかもしれない。自分の体を過信していた。
普段自分の体の事なんて気にしていられないのだ。
だるいかもと気にしたら働けない。だから体の異常には鈍感なのだ。しかし、今回はワクチン接種をしたあとだ。しかも今まで人類が打ったことのないワクチンを打っているのだ。少しは自分の体に目を向けるべきか。
「ちょっと頭が痛い。薬飲んだ方がいいかな」
「我慢しないで飲みな」
そう言って妻は用意していたタイレノールA(アセトアミノフェン成分の頭痛薬)を出してくれた。そしてお茶が入った寝ながらでも飲めるストロー付きのカップを渡された。もう寝ろということだろう。素直に従うことにする。
まだ 20 時にもなっていない。寝られるのかは分からないが、横になった方がいいだろう。
「お義母さん、ジョギングするなんて言って、ボクは阿呆な息子ですって伝えて」と、オレは妻に伝言を頼み、仕事部屋に敷いた布団に向かった。寝られないと思っていたが、すぐに眠りにおちていった。
***
ワクチン接種 3 日目。
朝から気分がいい。腕も昨日よりあがる。頭もスッキリしている。
オレの体はもう大丈夫だ。今日こそジョギングが出来るだろう。やっぱり昨日は具合が悪かったのだと、今更ながら気づいた。
2回目のワクチン接種は来月。
今回よりも副反応は出そうだから、次回はもっとちゃんと体を休ませることにしよう。
ベランダから見える青空が眩しい。外に出てこいとオレを誘っている。
この季節のジリジリとした日差しと、むせかえるような暑さがオレは好きなのだ。生きていると実感する。皆もそうじゃないか?
おわり
実話をもとに、面白可笑しく書いてみましたww
***** おまけ *****
昨日、東京上空を飛んだブルーインパルス。
うちのベランダから相方くんがミラーレスで撮ってくれました。
スマホじゃ全然ダメだったよww